前回は屋根の役割についてでしたが
今回は庇や軒の出の役割について述べていきます。
最近では、軒の出が少ない屋根や
全くない箱型の家がぽつぽつと流行っている風に見受けられます。
軒の出をなくすことによって
外観の印象をシンプルにしたり、モダンに見せる効果があります。
ですが
軒の出には大きな役割が持たされています。
ひとつは
軒先が外壁よりも出ていることによって
屋根から落ちる雨水を
外壁に触れずに下へ落とすこと。
外壁の汚れや劣化を大分防いでくれています。
ふたつめは
夏の日射遮蔽です。
夏場の太陽の角度はとても高く
冬場の太陽の角度は低い角度になりますよね。
軒が出ていることによって
夏場の上からの太陽光を窓に侵入させず
冬場の横からの太陽光は窓へ迎え入れる
そういう季節を通した効果が期待できます。
カーテンや、ブラインドで太陽光を遮ったとしても
室内側で遮っているので
カーテン自体の温度が上がってしまい
結局室内側へ暖かい放射熱が
じわじわと伝わってしまいます。
昔のお家や社寺仏閣の軒先が
とても出ているのはそういう理由から。
屋根の下にある濡れ縁で
風鈴の音を聞きながらスイカを食べた時の
清涼感は、軒先の効果もあったんですね。
どうしても軒先を抑えて
外観の印象を優先したい場合でも
南側の窓の上には庇をつけて
日射遮蔽することは必須なのではないでしょうか。
できるかぎり
自然環境に逆らわずに快適に暮らしたいものです。
それでは。